人生でした一番悪いこと

　親友には片想いの相手がいる。名をＹ子という。Ｙ子と自分は家が近所で、部活の帰りによく一緒に帰った。「Ａ男のこと知ってる?Ａ男はサッカー部でよく知ってんだ。Ｙ子に気があるみたい。」「Ａ男くんのことは知ってるよ。でも、ワタシの好きなのはあなたよ。気づいてなかった?」有頂天になる自分。学校で一番の美人で皆から人気のあるＹ子が、自分のことを好きだったなんて。ある日、Ｙ子に誘われ人生初のデートに出かけた。電車の中で目線を感じてふと目をやると、Ａ男がじっと自分の顔をにらみつけていた。「俺の気持ちを知ってるくせに。」顔にそう書いてあった。気まずかった。逃げだしたい気分だった。
　実は、Ｙ子は男だった。新体操をやってるうちに本当の性に気づいてカミングアウト、性転換したらしい。初恋の相手が男だったなんて。