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ロウソクを灯して見つめている。
小さな火はかすかな気流に揺らめいてゆらゆらと揺れていた。
ゆらめきのたびにため息をついた。
線香花火をとり、ロウソクの小さな炎に近づける。
ロウソクから線香花火に火が移る。
線香花火から立ち上がる炎はすぐに火種となった。
すぐさま、パチパチとかすかな音を立てながら球体状に弾けとぶ。
直線的な線を描いて弾ける、それは棘だ。
主張するたびに心に突き刺さった棘だ。
花火から出るいくつもの棘は過去の痛みを思い起こさせる。
ひとつひとつの痛みを思い出しながら、しばらくの間、弾ける花火を見つめていた。
すべてが弾け終わると、ただの火種となって、ぽとんと落ちた。
足の上に。
その他
公開:23/09/04 11:05

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