夜の音

草木も眠る丑三つ時。代官である儂は越後屋を屋敷に招き、悪巧みをしていた。
その時だ！庭に人影が見えた！儂は障子を豪快に開ける。
そこに立っていたのは予想通りの人物…殿であった。
「代官よ！国を預かる立場でありながら越後屋と共謀し、私腹を肥やすとは何事だ！その悪事…見過ごす事は出来ぬ！」
腰に佩いた刀を抜き、凄む殿を見て儂も喉を震わせる。
「キャー！殿ー！カッコいい！」
隣に控える越後屋が儂に推しうちわを手渡す。
さらに儂の悲鳴に屋敷に控える殿ファンが続々と姿を見せる。
生の殿に早速気を失う者もいる。気持ちはよく分かる。だって殿、オーラ凄いんだもの！
神対応の殿はファンサもばっちり。「切り捨てて下さい！」の要望にも真顔で応えてくれる。殺陣もキレッキレで見惚れてしまう。
真夜中の殿ライブ。やっぱり最高だ！申し込んで正解だった。
殿、またここに来てくれるかな？来てもらえるよう、悪巧みを続けよう。