夜の音

同じアイスティーでも飲む時間によってその味は大きく変わる。
夏。朝の目覚めのアイスティー。
尾を引く夢の世界を断ち切る為の一杯は苦みを少し強く感じる。
それが昼頃になると涼を取る為の一杯へと早変わり。
体中にまとわりつく暑さを払拭してくれるアイスティーは爽やかさを感じる。
朝は一杯で十分と思っていたアイスティー。この時間だと二杯三杯といけてしまう。
なのに夜になると一杯で十分。まだ暑さも残っているのに、不思議とこの一杯で満足してしまう。
苦みを感じることに変わりはないが、朝のような強さはない。朝のアイスティーとは似て非なる。
まるで今日１日を労ってくれるような、安らぎを与えてくれる苦みだ。
私は夜のアイスティーが好きだ。
今日という１日を思い出しながら、ぼんやりと氷の溶けるアイスティーを見つめる。
カランコロンと音を立てる氷の音色に耳を澄ませ、ゆったりとした時間を過ごす至福のひと時である。