手のひらを太陽に

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山道のトンネル。

湿り気と黴臭さの漂うそこは幽霊が出ると噂が絶えない。

僕らの遊び場である公園はそんな恐ろしい場所を抜けた先にある。

一人で行くには怖いけど、兄ちゃんがいるからへっちゃらさ。

兄ちゃんは僕より少し年上で、最近トンネルで知り合った。毎日一緒に遊んでくれるんだ。

「幽霊から身を守ってくれるおまじないって知ってるか?」

「何それ」

公園で遊んでいる時、兄ちゃんが教えてくれた。

「こうやって、太陽に手のひらを向けるんだぜ」

僕も真似て太陽に翳してみると、手のひらが透けて見えた。

中に赤い太陽のエネルギーが入ってきたみたいに、沢山の光が流れ込んでくる様だった。

「凄いよ!兄ちゃん大発見だ!でも、兄ちゃんの方がもっと透けて見えるよ」

「へへっ!これは厳しい修行の成果だぜ!これで一人でも公園に通えるな」

兄ちゃんは色んな事を知っている。僕の自慢の兄ちゃんだ。
ファンタジー
公開:23/08/27 20:00
更新:23/08/27 21:07

社 真秀

空想世界を広げる為書き連ねます。アドバイス、ご指摘いただけると幸いです。

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