灯篭塚の小人

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何故明りがつくんだろう。
裏庭の藪を抜けると灯篭塚と呼ばれる場所に出る。
人目に付かないそこは夥しい数の小さな灯篭が置かれているのだが毎晩火が灯るんだ。
灯篭には蠟も電気も無いのに何故だろう。
誰かが夜な夜な灯しに来るとしても意図が汲めない。
真相を解き明かす為、僕は灯篭塚にやって来た。
夕暮れ時、木の影に隠れ静観していると藪からやんややんや声がした。
「さあ、着いたぞ!皆の衆良く頑張った!」
「今日は宴だ!朝まで飲もう!」
目に飛び込んできた異様な光景に僕は思わず息を呑んだ。
人魂の様な炎を帯びた1寸ばかりの小さな人影がぞろぞろと列を成して歩いていた。
彼らは灯篭によじ登ると窓を開け火袋の中に入っていく。
ぽっと火が灯り、中から楽し気な会話が聞こえてきた。
「今日は迷子の道案内をしたぞ」
「あっしは元気を無くした者の心に火を灯してやりした」
どうやら此処は彼らのお家らしい。
ファンタジー
公開:23/08/26 20:00

社 真秀

空想世界を広げる為書き連ねます。アドバイス、ご指摘いただけると幸いです。

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