村のお稲荷様

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やっと夏休みに入ったと思ったら、もう秋の気配だ。

その証拠に田んぼは黄金に色づき始め、赤トンボが飛んでいる。

正直言ってまだ遊び惚けたい。もう少し夏が長くなればいいのに。

そんな事を思っていると「もう夏は終わり」と言うかの如く山から狐が降りて来てた。

この狐は秋が近づくと田んぼの小さな社にやってくる。

神様の使いだとか、秋の化身だとか、色々言われていて村の皆は手を合わせ供物を差し出す。

商売繫盛、屋内安全から厄除け、農作祈願、この村は何から何まで神頼みだ。

そういえば去年、先輩が彼女ができるようにと頼み込んだらしい。

狐につままれるんじゃないかって思うよ。

神様も人の欲を聞いてばかりで嫌にならないのだろうか。

すると、狐は萌黄色の目を俺に向け答えた。

「油揚げ10年分で手を打ってやったぞ」

油揚げ目的か。
ファンタジー
公開:23/08/30 20:00
更新:23/08/30 20:09

社 真秀

「自分の想う世界観を広げたい、形にしたい」という気持ちを抑えきれず投稿を始めました。
駆け出しですが、少しずつでも伝えられるよう努めますのでどうぞよろしくお願いします。
アドバイス、ご指摘いただけますと幸いです。


 

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