人魚伝説

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満月の夜は決して漁に出てはならない。というのが港の決まりであった。

しかし仕来りなど聞いたことかと、若い漁師が数人舟を沖に出したそう。

漁は順調に進んだと思われたが、奇妙なものが網に掛かったという。

「おい、何だこれは」

そこに現れたのは人魚だった。

人魚というのはどれも下半身は魚、上半身は美しい女性といったものではない。

頭は人の顔で二本の角があり、首は無く体が魚のそれである。

人魚は若い漁師に向かって不気味な声でこう言った。

「お前らも私の肉が目当てだな」

人魚の肉を食べると不老長寿を得られるという言い伝えがある。

漁師達は強欲だったため、人魚を殺してしまったという。

肉を持ち帰ると忽ち港は一面異様な空気に包まれた。

海鳴りや大風が続き、最後には津波が押し寄せ港の大地丸ごと海の底に沈んでしまった。

こうして人魚の祟りとして全国に広まったそうな。
ファンタジー
公開:23/08/19 20:00

社 真秀

「自分の想う世界観を広げたい、形にしたい」という気持ちを抑えきれず投稿を始めました。
駆け出しですが、少しずつでも伝えられるよう努めますのでどうぞよろしくお願いします。
アドバイス、ご指摘いただけますと幸いです。


 

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