予知ビー玉

0
2

「たっだいまー」

冷蔵庫の扉を開けると同時に言い放つ。そこには、学校から帰ったら飲もうとキンキンに冷やしておいたラムネが……無かった。
正確にはラムネの中身、ラムネ水が綺麗さっぱり無くなっていたのだ。残ったのはおまけのビー玉だけ。

「誰かが私に黙って飲み干したなぁ」

瓶を洗おうと水を注いだ。その時奇妙な光景が起こった。まるでビー玉が喉を乾かせ、水をがぶ飲みするかの如く全て吸い尽くしたのだ。
私はビー玉を取り出し、転がしたり、振ったりして確かめたが一滴も水は落ちなかった。そして、最後にビー玉を覗き込んだ。

――
 
「頑張ったな満点じゃないか」

先生が私に言った。
 
水は全ての記憶を保持していると聞いたことがある。水を取り込んだのは記憶を溜めるための充電なのかもしれない。このビー玉は私に未来を見せてくれたのだ。

あの時、ビー玉には明日のテストの問題が映っていた。
ファンタジー
公開:23/08/17 20:00

社 真秀

「自分の想う世界観を広げたい、形にしたい」という気持ちを抑えきれず投稿を始めました。
駆け出しですが、少しずつでも伝えられるよう努めますのでどうぞよろしくお願いします。
アドバイス、ご指摘いただけますと幸いです。


 

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容