借金を貸してもらった話

私が働く会社は飲み会が大好きだ。少なくとも月に１回。多い時は週４。勘弁してほしい…
飲み代で給料が飛ぶ。そもそも私は酒が好きではない。長時間拘束されるのも苦痛だし、何とかならないかと頭を悩ませていた。
そんな私に「借金、お貸ししましょうか？」と声をかける男。
「借金があると言えば、相手だって飲み会に誘い辛くなりますよ」
そう言うと男は懐からいくつか借用書を出す。その金額を見て、こりゃ誘えないわ…と顔を顰める。
「１つ、１万円です」
高い！と思うも、それで煩わしい飲み会に誘われなくなるのなら…思い切って借りてみた。

男の言った通り、私は飲み会に誘われなくなった。
成程…借金なら借り逃げされる心配もない。いい商売だ。
あの男、この画期的なアイデアでかなり儲けているな…
「いいえ。レンタル用に借金しているので首が回りません。私に借金あってのレンタルですから」
何事もそう上手くはいかないようだ。