再会

「成長したなエレン。あの当時と比べ逞しくなっている」

「あの日以来、私は戦地を渡り歩いた。女でも戦えるところを見せたいと必死だった」

「別れの時、ボクが言ったことを覚えているかい？」

「また逢うことが有ったら、お互いベストを尽くそう、自分たちはその為に生まれてきたのだから、だったわねリチャード」

「結構。ならば容赦はしない。連合国軍戦車隊のリーダーとして、必ず攻め落とす」

「望むところよ。同盟国軍戦車隊のリーダーのこの身砕けても、あなたを食い止めてみせる」

両陣営の先頭はかつての恋人同士。

「突撃ィ！」

「怯むなァ！」

砲身を相手に向け、砂埃を巻上げ敵めがけて踏み込んでいく。

「撃てェ！」

同じ時期、同じ工場で製造され恋に落ちるも、哀れ違う国に納品され、そして今日、戦場での再会。

「応戦っ！」

どちらが勝っても救いのない、重戦車同士の哀しい恋の話である。