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金魚の銀と出会ったのは、私が小学生の頃。夏祭りに母と訪れた時の出来事だ。
「この金魚変なの!銀色じゃん気持ち悪りぃ」
金魚掬いにいた内の一匹が同級生らに虐められていた。
私は直様止めに入った。彼らは私をギロリと睨んだが母に気づき、逃げ去った。後も屋台に何人か来たが銀色の金魚を避け、別のばかりが掬われていった。
「お前も大変だな、周りと少し容姿が違うってだけで」
私はこの金魚を自分と重ねた。
「お願い!毎日ちゃんと世話をするからこの金魚救わせて」
母は私の頭を撫で、責任を持って育てなさいと言い許しを得た。
何度か挑戦するが紙が破け、捕まえても器から飛び出し、失敗が続いた。やっとの思いで掬い出せ、私はさぞ喜んだ。嬉しくて私の方が金魚より飛び跳ねていただろう。
こうして銀と名付け大変可愛がって育てた。思えば初めての友人は銀だったのかもしれない。
ありがとうと感謝の気持ちを込めて土に埋めてやった。
ファンタジー
公開:23/08/13 20:00
更新:23/08/13 13:22

社 真秀

「自分の想う世界観を広げたい、形にしたい」という気持ちを抑えきれず投稿を始めました。
駆け出しですが、少しずつでも伝えられるよう努めますのでどうぞよろしくお願いします。
アドバイス、ご指摘いただけますと幸いです。


 

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