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新雪の上に、灰色の塊が横たわっている。おそらく、車と接触したオジロワシだ。怪我はしていない。軽い脳震盪を起こしただけだろう。
僕はオジロワシを両手に抱え、海岸へと向かった。
オホーツク海の向こう、定規で線を引いたような水平線に、雪化粧をした知床連山が、蜃気楼のように揺らいでいる。
僕は岸壁に立ち、「ふぅ……」と静かに息を吐き、オジロワシを抱えた両手を空に掲げた。
飛べ。
刹那、一陣の風と共に、オジロワシの体はふわりと宙を舞う。その大きな翼は風を切り裂き、高く、遠く、海よりも深い紺碧の空へと消えて行った。
きっと知床連山まで、一直線に飛べるだろう。
やがて風は止み、知床連山は煙のように、ふっとその姿を消した。
還れたんだな。
僕は踵(きびす)を返した。
僕はオジロワシを両手に抱え、海岸へと向かった。
オホーツク海の向こう、定規で線を引いたような水平線に、雪化粧をした知床連山が、蜃気楼のように揺らいでいる。
僕は岸壁に立ち、「ふぅ……」と静かに息を吐き、オジロワシを抱えた両手を空に掲げた。
飛べ。
刹那、一陣の風と共に、オジロワシの体はふわりと宙を舞う。その大きな翼は風を切り裂き、高く、遠く、海よりも深い紺碧の空へと消えて行った。
きっと知床連山まで、一直線に飛べるだろう。
やがて風は止み、知床連山は煙のように、ふっとその姿を消した。
還れたんだな。
僕は踵(きびす)を返した。
ファンタジー
公開:23/08/13 01:01
更新:23/08/13 13:26
更新:23/08/13 13:26
(以前のアカウントが操作不能になってしまったので再掲です)
茨城県つくば市出身、北海道オホーツク在住。
小説、エッセイ、朗読用台本の執筆、ショートドラマのシナリオライター、Webライターなど。
主にnoteで小説やショートショートを執筆しています。
note → https://note.com/t_design04
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