バス停の老婆

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私は幽霊を見ることができる。
それはもう人と幽霊の区別が難しい程明確に。
「もし、お前さんや」
バス停留所の待合小屋。椅子に腰を下ろした老婆に呼び止められた。
「次のバスから降りた子に、この髪飾りを渡してくれないかい」
怪し過ぎる。
「え、なんで私が」
「頼む、唯一の孫娘なのだ!!」
拒絶する私に駄々を捏ねながら擦り寄る老婆。
「分かりましたから離れてください!」
しばらくしてバスが来た。
私は降車した女の子に髪飾りを渡してあげた。
「これ朝落としたやつだ!ありがとう」
女の子はスキップで帰って行った。
「これで私も成仏できるよ」
ああ、やっぱり既に亡くなった方だったのか。
それでも助けになれたのなら悪い気はしない。
なんて思ったのは束の間。
「もしもし、儂も1つよろしいですかな」
「次は吾輩も」
「おいどんも」
なんか増えてない?
はあ、これだからお盆は嫌いなんだ。
ファンタジー
公開:23/08/15 20:00
更新:23/08/15 12:59

社 真秀

空想世界を広げる為書き連ねます。アドバイス、ご指摘いただけると幸いです。

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