天然幽霊

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目の前で少女が死んだ。
その光景を目の当たりにしてから駅のホーム、朝の8時になるとその子の幽霊が現れるようになった。
「おはようございます」
うわ、出やがった。噂をすれば何とやら。
黒髪ロングのセーラー服を着た少女が天然水片手に話し掛けて来た。
「あの雲、かき氷に見えませんか」
とんだ天然娘だ。
「天然水掛けると美味いって聞くぞ」
「本当ですか!?帰ったら試してみようかな」
「お前そもそも死んでるんだから無理だろ」なんてセリフ、言えない。
どうやらこの子は自分が死んだことに気づいていないらしい。
教えるべきか?いや、酷すぎる。俺だったら発狂する。
「あ、電車来た。それじゃまた駅員さん」
「ああ、気を付けてな」
俺にしか見えない天然少女の幽霊、略して天然幽霊は今日も電車に乗ると消えていく。
自分が死んだことに気づくまで、もしくは俺が定年するまで話し相手ぐらいにはなってやろう。
ファンタジー
公開:23/08/14 20:00
更新:23/08/14 16:30

社 真秀

「自分の想う世界観を広げたい、形にしたい」という気持ちを抑えきれず投稿を始めました。
駆け出しですが、少しずつでも伝えられるよう努めますのでどうぞよろしくお願いします。
アドバイス、ご指摘いただけますと幸いです。


 

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