私は最強の門番

0
1

 私は最強の門番だ。
 何人たりとも、この屋敷に通したりはしない。
 もちろん、主人とその家族は別だが。
 今日はいい天気だ。だが、気は抜かない。
 こんな陽気の日は、あいつがやってくるからだ。

 ──来た! あいつだ!!
 気配を感じた私は身構え、追い払うため、声を張り上げようと──、
「シャー!!」
……したが、威嚇された。
 文字通り尻尾を丸め、自分の小屋へと避難してしまった。
 それを見た侵入者はふふん、といった顔をし、悠々と門の下をくぐり抜け、庭のほうへ行ってしまった。
 ……奴の気配がなくなった。
 そう確信し、私は犬小屋から出た。
 また、番犬としての務めを果たすために。

 私は最強の門番。
 決して、ここを通したりはしない。
 文字通り、何人たりとも。
 何? あいつを通したって?
 それはまあ、話が別だ。
 何しろ、奴は猫であって、人ではないのだから。 
その他
公開:23/08/07 21:00
コメディ

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容