落としもの

「そこのお嬢さん。これ、落としましたよ。
これは何か？体重ですよ。お嬢さん。あまり無理なダイエットはしない方がいいですよ。それが原因で体重より先に命を落としてしまう女性も少なくないですからね。
えっ？美しくないと生きている意味がない？少しでも痩せないと美しくなれない？
はぁ…お嬢さん。まずはその考えを捨てなさい。
いいですか？痩せている＝美人は大きな間違いです。太っていても美人な方はいます。
それにお嬢さんのその身体、ポキッと折れてしまいそうな細さじゃないですか。周りに心配されませんか？
…やっぱり…もっと自分を大切にして下さい」

私は死神である。
ジャージ姿で趣味のジョギングをしていると、私の姿が見える人間に声をかけられた。
私が落とした体重を拾ったり、骸骨な私の性別を一目で当てたり、命を落とす危険性を説く変わった人間。
良い人なんだけど私が見えている以上、近々命を落とすんだろうなぁ…