ハツカニンゲン

労働力不足に悩む現場。そこに投入されたのがハツカニンゲンだ。
ハツカニンゲンは人間をベースに作った人工生命体。未だ不安定なところが多いが、背に腹は代えられない。
ハツカニンゲンはハツカネズミのように２０日で成人となる。１日１歳、歳を取る。
２０日で教えられる事なんて高が知れている。だからハツカニンゲンに出来る事は単純な作業だけ。
文字の読み書きと簡単な計算くらいは出来たほうがいいと、２０日の間に詰め込み教育を施す。
難しい事は出来ないが、それでも労働力が増えたと現場では喜ばれた。
ハツカニンゲンが働けるのは約７０日。これでも寿命が延びた方だ。昔は６０日しか働けなかった。
７０日を越えたハツカニンゲンの殆どは１ヶ月以内に死んでしまう。
だから高齢のハツカニンゲンは人間に使う薬の実験体となる。副作用がいくら出ようと問題ない。
人間にいくら似ていてもハツカニンゲンは実験動物に過ぎないのだから。