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「おやすみなさい」
この言葉が妻と交わした最後の言葉になってしまった。
丸障子の側に飾られた花は他界した妻のものだ。最近、毎晩のように黒い蝶が蜜を吸いに来る。そして蝶は月明りに照らされながら赤く光る鱗粉を振り撒く。そんな光景を眺めて眠りに着くと決まっていい夢を見た。しかもその夢の続きだって見ることができる。朝になると蝶はどこかへ去ってしまうがあまりにも綺麗なので夜が待ち遠しく思えるようになった。
今晩も蝶は花の蜜を求めて訪れた。月の光が部屋に差し込み蝶と僕を照らす。蝶は蜜を吸い終わると羽を広げ宙へ舞い上がる。ひらひらと部屋を舞う姿は、まるで寄り添ってくれているかのような安心感があって気持ちが安らいだ。次第に僕はうつらうつらと舟を漕ぎ始め、そのまま眠りに着く。
夢の続きを見た。いつもこの部屋から始まる。そしてこう言うんだ。
「おはよう」
この言葉が妻と交わした最後の言葉になってしまった。
丸障子の側に飾られた花は他界した妻のものだ。最近、毎晩のように黒い蝶が蜜を吸いに来る。そして蝶は月明りに照らされながら赤く光る鱗粉を振り撒く。そんな光景を眺めて眠りに着くと決まっていい夢を見た。しかもその夢の続きだって見ることができる。朝になると蝶はどこかへ去ってしまうがあまりにも綺麗なので夜が待ち遠しく思えるようになった。
今晩も蝶は花の蜜を求めて訪れた。月の光が部屋に差し込み蝶と僕を照らす。蝶は蜜を吸い終わると羽を広げ宙へ舞い上がる。ひらひらと部屋を舞う姿は、まるで寄り添ってくれているかのような安心感があって気持ちが安らいだ。次第に僕はうつらうつらと舟を漕ぎ始め、そのまま眠りに着く。
夢の続きを見た。いつもこの部屋から始まる。そしてこう言うんだ。
「おはよう」
ファンタジー
公開:23/08/04 20:00
空想世界を広げる為書き連ねます。アドバイス、ご指摘いただけると幸いです。
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