小さな髭剃りマシン

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「マイクロマシンは従来の機械と考え方が違います」
研究室でM博士は快く説明してくれた。
「建物の外からテーブル上のグラスを取り出そうとすればどうしますか」
「部屋に入ってグラスを持っていきますね」
「それが賢明です。しかし従来の機械は屋根を壊してクレーンでグラスを挟みとる発想なのです」
「なるほど!実例を見せてください」
「髭剃りマシンです」白い泡を手に博士が説明する。
「泡の中にサブミクロンのマイクロマシンが百ほど遊んでいる。彼らは髭を噛み切るだけの機能。泡を顔に」と博士は自らの顎に泡をつけるとジジジと小さな音がする。泡を拭き取ると綺麗に髭が剃られていた。
「素晴らしい。使ったマシンは?」
「水に流します」
「もったいない」
「有機マシンで簡単に増えてコストは安い」
「医療用などにも使えそうですね」
「バカな!マイクロマシンは単機能に意味がある。髭剃り以外は関心ない」とM博士は立腹した。
その他
公開:23/08/04 08:46

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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