落としもの

トラックドライバーをしている俺はある日、喋るお守りを拾った。
何でもこのお守り、母親の幽霊が憑りついているらしい。それを息子に持たせ、いつもそばで見守っていたらしいが…数カ月前、引っ越しのどさくさで落とされてしまい、ずっと動けないでいたんだとか…
その話を聞いた俺はこのお守りの持ち主、つまりは息子を一緒に探してやる事にした。
なぁに仕事柄、全国各地に車を走らせる。そのついでの人探しだ。
SNSも駆使し、情報を集めてみるも、中々息子は見つからない。
それでも諦めずに探していると７年目にしてついに息子の居場所を突き止めた。
息子にお守りを渡し、これで一件落着…と、思っていた。

数日後、息子から連絡があった。
お守りが口うるさいと苦情の電話だ。母親なんだからそれくらい許してやってくれ。
あと、母親が俺に恋をしていると言って来た。
俺はいつの間にか、あのお守りを恋愛的な意味で落としていたらしい。