カボチャの人生

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僕達は同じ畑で生まれ育って、これから旅に出る。
収穫された仲間は、出荷先毎に選別される。
東京のセレブ百貨店向けの籠、道の駅に行く籠、格外の籠。
味は皆同じ筈なのに見かけの形が歪とか、小さ過ぎるとか人の勝手な理屈でランク分けされてしまう。
一緒に東京に行こうぜと言ってた仲間達も、選別が始まればバラバラになってしまうかも知れない。
暫くして等級分けも終わり東京へ行く事になった仲間は、残った僕達にそれでは元気でなと言い旅立った。
道の駅行きの者も、元気で頑張れよと言いながら居なくなった。
格外として残った僕達は、農家の前に置かれた。
近所のおばちゃんや近くのケーキ屋さんのお姉さんが、喜んで買いに来てくれる。スィートケーキになった仲間は、子供達に美味しいと喜ばれた。
お年寄り夫婦の家で炊かれた僕は、栗の様な美味だと褒められた。
僕の種は、お年寄りの畑に撒かれ来年には、小ちゃな新しい芽を出すよ。
ファンタジー
公開:23/07/25 17:45

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