【超短編小説】涙
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ある夜、ジョギングの途中、一休みのために寂れた公園に立ち寄った時、公衆トイレの陰に、何か大きな物が置かれているのに気づいた。近づいてみると、それは大きなゴミ箱で、本来なら「燃えるゴミ」とか「ビン・缶」と書かれるべき場所に「涙」と書かれてあった。涙はここに捨てるのか。知らなかった。と思いながらゴミ箱を軽く蹴ってみると、とぷん、と大きな波音が聞こえた。結構詰まってるなあ。そんな感想を抱きながら家に帰った。数日後、泣くほど辛い出来事に遭遇した。涙が流れそうになった時、ゴミ箱のことを思い出した。急いで件の公園に行くと、ゴミ箱はすでに姿を消していた。仕方がないのでトイレの陰でわんわん泣いた。涙は土に染み込んで、すぐに消えていった。
その他
公開:23/07/30 18:39
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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