ドライブスルー天国

車社会の米国は世界有数のドライブスルー先進国として知られる。当地では飲食はもちろん銀行サービスや投票、結婚式や葬式までドライブインで済ますことができるというのは、嘘でもない本当の話だ。アメリカ人はとにかく車で移動するのが好きだから、ドライブスルーは２１世紀の今になっても衰えることを知らない。昨今では多くの病院がドライブスルーに対応するようになり、出産から終末医療まで自動車の中で済ませる人が増えている。「うちの息子ったら３０をとうに過ぎているのに、車の中に引き引き籠もってばかりで世間知らずなの」と嘆く母親は少なくない。車内で生まれ、教育もオンラインで受け、デートも車の中、就職もリモートワークが当たり前というこの世代の若者は「カンガルー世代」と呼ばれている。彼らは親のすねをかじりながら安全な袋の中から出たがらない。さらに愛車と一緒に葬られたいという彼らのニーズを受け、巨大な生前墓も人気という。