六波羅短大の滅亡

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のちに室町幕府を興した足利尊氏は六波羅短大を滅ぼした功績でも知られる。六波羅短大とは鎌倉幕府が雅な京ことばを巧みに操る女性を養成し、朝廷に送り込むために京に設けた教育機関である。鎌倉幕府は彼女らを通じて朝廷を監視し、反幕勢力の抑圧に努めていた。尊氏はこれが朝廷の目の上のたんこぶであると認識していたので、およそ半世紀前の元寇を引き合いにグローバル競争の必要性を説くことを思いつく。彼は「朝廷の男たちにへりくだり、機密情報を盗むような内向きの仕事はもうやめにして、これからはグローバル人材を目指そう」と高らかに宣言した御触書を五条河原に掲げ、鴨川沿いで演説を繰り広げた。すると、これが時代の変化に敏感な女性たちの志向にマッチし、短大離れが加速。六波羅短大はほどなく定員割れを起こし、ものの数年で募集停止に追い込まれたのである。尊氏の六波羅短大攻略がこのように非暴力で行われたことを知る人は、実は少ない。
ファンタジー
公開:23/07/20 15:50
更新:23/07/20 16:10

アカサカ・タカシ( 米国 )

2022年から米国在住。

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