落としもの

河原で石拾いをしていると、僕と同い年くらいの男の子が同じように石拾いをしていた。
目と目が合った瞬間、僕らは通じ合った気がした。拾った石を見せ合っては楽しいひと時を過ごした。
「実は俺…宇宙人なんだ…」
だからどうした？それならむしろ、月の石とか見せて欲しい。
僕の反応に彼は嬉しそうに微笑んでは、本当に月の石とかを見せてくれた。
「次は君の持っている石を見せて欲しいな」
僕の持っている石…そういやお医者さんが、僕の体の中に悪い石があるって前に言っていたな…
「それ、取り出していい？俺、キャトルミューティレーション得意なんだ！」
頷いて、彼に石を取り出してもらった。
「すげー。こんなの初めて見た…」
石は彼にあげた。代わりに彼は僕に月の石をくれた。
でもそれはくれたというより、落としたという方が正しい。
彼はキャトルミューティレーション中、うっかり僕の体内に月の石を落としてしまったんだから。