向日葵の落としもの

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透明な向日葵が俯き咲いている。
麦わら帽子の似合う少女は、風鈴のような声で尋ねた。

「どうしたの?」

「黄色を落としてしまったの。夢中で太陽さんを見つめているうちに…。」

眩しく輝く夏空が、かえって向日葵の哀しみの影を濃くしているように少女は思った。

「私、探すわ!」

少女は、花畑のアゲハ蝶や近所で飼われているヒヨコ、おやつのバナナにまで黄色の行方を尋ねて回った。

黄昏時、向日葵の元に少女が戻ってきた。

「あなたの落とした黄色、見つからなかった。ごめんなさい。」

向日葵は優しく首を振り「ありがとう」と言った。

「でもね、みんなが黄色を分けてくれるって!…どうかしら?」

少女の後ろには、アゲハ蝶とヒヨコとバナナが隠れていた。
向日葵がにっこり笑って頷くと、皆は自分の黄色を向日葵に少しずつ分け与えた。

その夏、太陽は恋に落ちた。一際優しく美しい、一輪の向日葵に。
ファンタジー
公開:23/07/24 16:22
更新:25/08/12 15:49

ネモフィラ( 更新停止 )

読んだ人に笑顔になってもらいたいという想いから投稿し始めましたが、私の文章ではそういったものが届けられないのだろうなぁと気づかされました。

今は書こうと思うとただただ悲しくなるだけなので、もう投稿することはないかもしれません。
アカウントは残しますがこれ以降浮上することもないかと思います。

短い間でしたが今までありがとうございました!
たくさん学ばせて頂きました。
お元気で。

2025.9

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