季節感Tシャツ

俺はクレステッドゲッコーのトノ。
今日は好奇心豊かな主によって、赤いTシャツを着せられている。なんでも「色によって季節を肌で感じられるTシャツ」らしいが…変温動物の俺には関係のない代物だ。

トコトコトコ…

あの足音は、最近この家にきた新入りのレトリバーの小童だな。俺は弱冠面倒になりつつも、止まり木を上目遣いで眺めてくるもふもふと視線を合わせた。

よぉ、新入り。どうした？何、寒い？あー、そりゃそうだ、お前が着てる色は濃い目の青だからなぁ。何なら交換してやろっか？なんてな。

クシュン！

小童は身を震わせると四角い絨毯の上に丸くなった。

…仕方ねぇなぁ。

止まり木から下りた俺は、仔犬の横に身を寄せてやった。と、幾分か安心したらしく、すぅすぅと寝息が聞こえてきた。

誰か早く気づいてくれると良いなぁ。