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葬儀場の宿泊部屋に安置されていた叔父の顔をマジマジと見つめていた。


小学生の頃、祖父の葬式では、顔を見るのも怖く、大人が遺体の手に触れていて心底驚いた。
しかし、ガンと闘病の末亡くなった叔父は、やれることは全てやり切ったと言うような穏やかな顔で、不思議とずっと見ていられた。

そして次第にこう感じるようになった。
あぁ、これは叔父の魂が乗っていた乗り物なんだな、と。

この世で活動する為に使っていた身体で、もう話はできないけど、叔父の生命は存在しているんだ、という確信があった。


葬儀が終わった翌日、帰りの特急まで時間があったので駅の陸橋から夕陽を撮っていた。

反対方面行き電車の到着ベルが鳴った。

ふと「人の死は旅立ちに似てるんだな」と思った。
直接会ったり、話せないけれど、確かにそこにいる。

そんなことを思っていたら、到着したばかりの列車は出発し、夕陽の中へ消えて行った。
その他
公開:23/07/14 00:03

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