今どきの用務員さん

近頃は物騒な世の中になり、子どもたちが集まる学校をより安全な場所にしてもらいたいとの声が多くの保護者から寄せられるようになった。そこで、手を上げたのが文教都市と知られるA市。より安心安全な教育を実現し、市のブランド価値を高めようとA市は市教委と連携し、用務員制度を復活させた。かつて昭和の時代には一部の学校に住み込みの用務員さんがいたものだ。当時を知る関係者がこぞって賛同し、とある市立小学校が実験校に選ばれた。
「今度来た用務員さんは働き者ですね」
「無口だけど、校舎や校庭の見回り仕事は得意みたいだ」
導入から半年が経過し、評判は上々だ。先月の夜には酔って校舎に侵入した浮浪者を検知し、額から発する赤いレーザー光とけたたましい警報音で撃退したという武勇伝も生まれた。
「人間よりも勇敢だね」とほくそ笑む校長。「ロボット用務員は眠らないし、文句も言わない。学校の防犯を支える実に頼もしい存在だ」