婉曲ロボット

ロボット派遣会社が新しいロボットを連れてきた。
「前回は不具合を失礼しました」
「そうだよ、俺をオマエと呼ぶし、食事ができたらメシクエだ」
「これは改良型。作業を十分に理解し言葉が婉曲です。ご満足いただけることでしょう」
そう言って改良型家事ロボットを置いていった。
「お茶を入れてもらおうかな」
「承知しました。お茶の銘柄は何に致しますか」
「家にあるものでいいよ」
「玉露が美味で健康にもよろしいようです」
「高いんじゃない」
「ご主人のご趣味と健康を考えればお安いかと存じます」
「じゃ、それで」
「買い求めてきます」
そう言って出て行って、帰ってきたのは三日後だった。
「静岡の茶畑で探して参りました」と玉露を見せてくれた。
派遣会社にクレームを言うと返事がきた。
「この度は失礼しました。婉曲に振る舞う『遠回しリッチプログラム』が誤って『遠回りリッチ』になっていました。現在、修正中です」