一人は嫌い

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僕は一人が嫌いだ。
だって、そんなの寂しいじゃない。
だから、僕は僕と一緒にいてくれる人を守っている。
でも、みんなはいつもいなくなる。
一人、一人、また一人。
しばらくするとまた新しい人達がやってきて、家族が増えるけど、最後はいつもいなくなる。
最後にあのおばあちゃんがいなくなって、あれからもう何年経っただろう。
最初はよくおばあちゃんの子供や孫達が僕に会いに来てくれたけど、それもパッタリなくなった。
お陰で酷い有様だ。自分でどうにかしたくても、僕にはどうにも出来ないんだ。
ああ、寂しいなぁ…









「おかーさん、すごいぼろ!」
子供の声がした。
久しく聞いてない、懐かしい声。
「わ、想像以上に荒れてるわ…まあ長い間放置されてたらしいし、まずは掃除かなぁ」
ああ、良かった。
また、家族ができるみたい。
安心して。みんなの事は僕が守るよ。



古い大きな家が、ぎしりと鳴った。
その他
公開:24/02/28 07:39

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