企業戦士・埴輪（はにわ）

AIが人に代わり仕事する時代が来る。そう思われていたが、先に埴輪が人に代わり仕事する時代が来た。
埴輪は頭の中が空っぽだ。だから仕事内容を叩き込みやすく、すぐに現場へと送り出せる。
怪我をしても問題ない。危険な事をさせても構わない。埴輪だから代わりなんていくらでもいる。
多くの企業が人に代わり埴輪を雇った。自社で生産できる無限の労働力。街中を埴輪が列をなして進む姿なんて珍しくない。
中にはライバル会社に自社の埴輪を潜り込ませ、妨害行為を行う会社もある。
頭が空っぽなんだ。産業スパイは出来なくとも邪魔する事は出来る。
埴輪による潰し合いで会社の収益はどんどん落ちていく。収益を伸ばそうと埴輪の生産数だけは増えていく。
自社の埴輪か。他社の埴輪か。にわかものには区別がつかない。AIで埴輪認証を行い、どうにか他社の埴輪の侵入を防ぐ。
行き場を失った埴輪は癒しを求め、土偶ママのいる夜の店へと集った。