雨女

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私は雨女だ。
運動会や遠足、文化祭、修学旅行…楽しい行事の時には必ず雨が降る。
この体質は大人になるほど制御が効かなくなった。今なんて、一歩外に出ればその瞬間に雨が降り出す始末だ。
ある日、家に誰かが来た。両親から連絡はなかったので「誰だろう」と思いつつ玄関を開ける。
そこには、二足歩行の狐がいた。驚く間もなく、狐が話し掛ける。
「すみません。少しよろしいですか。実は貴女にお願いがございまして」
「はぁ」
「私は結婚式を控えているのですが、どうもここ最近天気雨にならず式が挙げられないのです。なのでどうか、雨を降らせて頂きたい。ベランダから、少し顔を出すだけで結構です。お礼もたんまり差し上げます」
何だか放っておけず、頷いた。
次の日、言われた時間にベランダに出ると、しとしとと雨が降り出す。遠くから、笛と太鼓の音が聞こえた気がした。



次の日、玄関の前には山の幸が所狭しと並んでいた。
ファンタジー
公開:24/02/23 07:34

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