なぜ鳴くのか

人間の奴らは烏様の事が嫌いらしい。なんて無礼な奴らなんだ。たしかにゴミを荒らすようなバカなカラス共はいる。しかしあんな紛い物と烏様の違いも解らず同じ扱いをするなんて私は許せない。
だから直接人間に教えてやることにした。しかし何週間か続けてもいまいち烏様の扱いは変わらない。そこで１つの仮説にたどり着いた。人間達に私達の声届いていないんじゃないか？それは言語と声量の両方の意味でだ。ということでまず人間の言語について学ぶことから始めた。フムフム、なるほど。恐らく人間達の言葉を聞く限りここは日本という場所らしくて、日本語という言語が使われているらしい。早速発音の練習をしてみたが声帯の作りが違うらしく思う通りの言葉が出せない。ただその練習によって声量は出るようになった。しかしこれでは烏様とカラスの違いも伝えられない。私はもどかしい気持ちを吐き出すため大声で人間の悪口を言う。
「アホー！アホー！」