修羅場

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「すいません、コーヒー頂けますか?」

「かしこまりました」

いつものようにサラッと接客をこなす店員は、客を待たせないよう早歩きでカウンターへと向かう。しばらくすると、従業員の控室から女性の甲高い叫び声が聞こえた。


「何事だ!?」


店長が駆け寄ると、ドアと床の隙間から粘性の高い黒ずんだ液体が、じわりとカウンターへ流れ込んでいる。

ドアを開けると、コーヒーをこぼして腰を抜かした先程の店員が、ある一点に向かって指差していた。


「…お前、なぜここに…」



店長の妻だった。


「あなた、いつからなの?」

「な、なにがだ…?」

「いつ付き合ったか聞いてるのよ!」


妻は、店長の愛人にもう一度包丁を突き刺した。


「さ、3年前かな…」


すると、妻は腰を抜かしたままでいる店員へ視線を向けた。


「あなたもよね…」


割れた窓ガラスの向こうには、暗雲が立ちこめていた。
ホラー
公開:24/02/25 17:21

かずま( 関東地域 )

2023/10/19に参戦した新参者です。忌憚のないコメントお待ちしております。

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