影をはじく

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夕暮れ時。
公園に黒く伸びる遊具の影を陽だまりで作ったおはじきではじく。温かな輝きのおはじきが影にぶつかると、影は赤、青、黄…様々な色のおはじきとなって無数にはじけた。私はその中のいくつかを拾ってポケットにしまうとベンチに座り、残された他のおはじきが地平線に帰っていく夕日へ手を振るように煌めく様子を眺めた。夕日が沈むにつれ、深海のように黒く染まっていく大地へ、散らばったままのおはじきも沈んでいく。公園の街灯には明かりが灯り、小さな白い虫がその周りで鬼ごっこを始めた。

長い月日を重ねたものの影には、彩り豊かな思い出が潜んでいると聞く。普段は混ざり合っていて真っ黒だが、陽だまりのおはじきではじくと、それぞれの思い出が離れて元の色を取り戻すらしい。
私は先程拾った青いおはじきをポケットから取り出すと、街灯の光にかざしてみた。おはじきの光の中では、青空の下で遊ぶ幼い頃の自分の笑顔がはじけていた。
ファンタジー
公開:24/02/19 23:02
更新:25/03/26 18:19
月の音色

花笑みの旅人( 気の向くまま )

ページを開いてくださり、ありがとうございました!

ショートショートも感想も自分の「今、これ好き」を一番大切にしつつ、気まぐれに書いていこうかなぁと思います。あとシンプルにとても気分屋〜(⁠◔⁠⁠◔⁠)

※6月12日〜6月末まで、色々と鍛える為に以前よりチャレンジしてみたかった毎日投稿をやってみることに決めた!!

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