ギンメダル

太っている私はいつも嘲笑の的だ。
私は幼い頃から水泳をやっている。泳ぎは得意で、大会にだって何度も出ている。成績だって悪くない。
だが、見た目のイメージから「ダイエットの為にやっているのか？」や「あんな奴が相手なら楽勝だな」や「セイウチいるぞ」と侮られる。いつもの事だ。
バカにする奴らを私は泳ぎで圧倒してきた。ただ一人を除いて…
スマートな体つきの彼女は人魚と呼ばれ、いつだって１位で金メダルを取る。彼女を追う私はいつだって２位で銀メダルだ。
１位になれないから、バカにされる。太っているからと理由を付けられる。
「私は一度も貴女を侮った事がないわ」
そんな中、彼女は誰よりも私を高く評価してくれていた。
「私が人魚なら貴女は人鳥…ペンギンよ。海の中を飛ぶように泳ぐ狩人。魚の私は、いつだって貴女から逃げ切らなきゃって焦っている。私は誰より貴女を恐れているわ」
銀は銀でもペンギンか。それ、いいな。