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ふらりと入ったバーは立派なグランドピアノが鎮座するピアノバー。席からピアニストは見えないがポロリポロリとピアノが心地よい。水割りを運んできたウエイターが「ピアノのご希望をお聞きします」と聞く。「曲はあまり知らない」「曲名ではなくご希望の月日を」「日付け?」「その日のお客様の記憶をピアノが弾きます」これも一興だと、○月△日と言った。「承知しました」ウエイターはピアノに向かう。
それは別れた彼女の誕生日だった。
ピアノが曲を始めた。暗い照明の室内にしっとりとバラードが、やがてリズミカルに。彼女の笑顔が浮かぶ。彼女との出会い。デートをした公園や湖。ネオンの夜景は無理をして行った高級レストランの眺め。楽しい会話。曲とともに彼女と過ごした日々が映画みたいに移り変わる。と、曲は一転して悲しい調子。せつないメロディに彼女の姿は小さくなって暗闇に消えた。ああ、その日は彼女と喧嘩して別れた日でもあったのだ。
それは別れた彼女の誕生日だった。
ピアノが曲を始めた。暗い照明の室内にしっとりとバラードが、やがてリズミカルに。彼女の笑顔が浮かぶ。彼女との出会い。デートをした公園や湖。ネオンの夜景は無理をして行った高級レストランの眺め。楽しい会話。曲とともに彼女と過ごした日々が映画みたいに移り変わる。と、曲は一転して悲しい調子。せつないメロディに彼女の姿は小さくなって暗闇に消えた。ああ、その日は彼女と喧嘩して別れた日でもあったのだ。
その他
公開:24/02/22 15:31
2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。
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