第二候補

0
1

デスクはいらだっていた。
大物芸能人が危篤で、明日をも知れぬ命ということで、訃報記事を出すために紙面を開け続けていた。
病院に詰める部下に何度も連絡するが要領を得ない。締切だけが刻々と迫る。いらだちのあまり、「なぜ死なないんだ」と暴言を吐いて電話を叩ききった。
なんとかして紙面を埋めなくてはならない。白紙は許されない。
デスクは別の部下に電話した。
「おい、ところでそっちの第二候補はどうだ。そろそろ死ぬはずなんだけどなあ。しぶとく生きていたら”今日なら1面記事なら明日なら3面だと脅してやれ。それでも死なないなら第三候補、第四候補と声をかけ……」
その他
公開:24/02/21 08:45

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容