チョコレートの届け先

今年も幼馴染の彼にチョコを渡せなかった…
人気者の彼と陰キャの私。子ども時分ならいざ知らず、身の程を知った今なら引くべきだ…
作ったチョコを冷蔵庫へと入れておく。去年みたく仕事から帰ってきた父が食べてくれるだろう。
去年はそれで激怒したが、正直ホッとしていた。これで渡さずにすむんだって…

翌朝。冷蔵庫を開いてみるとチョコが消えているのを確認し、ホッとする。
そして、今年は怒らないと決めて、父にチョコはどうしたのか聞いた。
「あのチョコなら、坊に渡してきたぞ」
私は激怒した。何で勝手な事するの！？何で彼に渡したの！？
「おいおい…俺は配達員だぞ。送り先が分かっているなら、持って行くのが俺の仕事だ。去年は間違って俺の腹の中に送ってしまったが、今年はちゃんと坊の腹の中に送り届けてやった。『美味しい』って褒めていたぞ。それから、坊からラブレターを預かっている。その返事はお前がちゃんと渡すんだぞ」