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砂浜に腰をおろし、ぼーっと海を眺めていると、鼓動の音まで波の音と混ざり合い、海に溶けたような感覚になる。海月はこんな気分だろうか。
波打ち際では、私の誘った涙が波と追いかけっこして遊んでいる。眩しい陽光を浴び、無邪気にキラキラと笑っている。連れてきてよかった。最近外に出るのを我慢させていたから、思い切り声をあげられるのが楽しいみたいだ。見上げなくても視界に広がる海上の空を、旋回しながら飛んでいるあの鳥の名前はなんだろう?

ゆったりと時間は通り過ぎていった。そろそろ戻らなくては。波打ち際の涙に「そろそろ帰ろう」と声をかけると、涙は泣き出した。そんな涙を波が抱きしめ、一緒に海へ行こうよと誘う。私の元へ戻ってきたら、きっとまた涙に我慢させてしまうと思ったから海へ送り出してあげることにした。
あの涙は波に乗ってどこまで旅をするだろう。次にもし会うことができたなら、真珠みたいに輝いているといいな。
ファンタジー
公開:24/02/18 00:00
涙を誘って海に出かけてみたよ 波の音ってドキドキする

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

読んでくれてありがとう!

寒い季節になったから、気が向いた時にふらりと立ち寄ってゆるーく投稿しています。

 

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