出汁が決め手の味噌汁

僕は味噌汁を作る時、昆布、煮干し、母の写真の３つを入れる。
それを見た彼女にドン引きされた。「マザコンなの？気持ち悪…」と嫌悪感たっぷりに言われた。
僕は苦笑いを浮かべる。写し出汁を始めて見る人は皆、同じ反応をする。
僕だって無意味に母の写真を入れているわけではない。こうする事で味噌汁がおふくろの味になるからやっているんだ。
試しに写真入りと写真抜きの味噌汁を作り、彼女に飲んでもらう。
「…写真入りの方が美味しい」
納得していないも、素直な感想を述べてくれる。こういうところ、大好きだ。
昔から料理は真心と言う。心を込めて作ってくれる人の写真を出汁に使うと、滲み出た愛情が旨味へと変わるんだ。
「それなら、キミの写真を出汁に使ってよ」
彼女に願われ、僕の写真を出汁に味噌汁を作る。
味見をすると写真抜きの味噌汁の味がした。当然だ。
だけど彼女はそれを「世界で一番美味しい！」と言って喜んでくれた。