履歴ショコラ

「焦らず丁寧に…よし、上出来だ！」

今まで作った履歴ショコラの数は、もう何枚になっただろう。
容赦なく届く企業からのお祈りメールにもすっかり慣れ、板チョコみたいにパキリと心が折れることもなくなった。最初の頃は悪戦苦闘しながら徹夜で作った履歴ショコラ。自分の今までの道のりを溶かし込んで作るから、就活生によってチョコの味も食感も異なる。不器用に生きてきた私では、どうせ苦くて硬いチョコになっちゃう…と焦燥感でいっぱいになりながら作っているうちは、冷やし固める時に割れてしまったり、酷く苦いチョコになってしまったりして面接官を苦笑いさせた。
しかし、苦い自分の道のりも捉え方によっては旨みになる！と吹っ切れてからは面白いくらいに美味しい履歴ショコラが作れるようになり、着々と選考を通過できるようになった。
明日はついに本命企業の面接。会心の出来の履歴ショコラは、私の熱意でとろける食感に仕上がっていた。