結婚の際の誓い

結婚の際に、夫と誓いを交わした。
「お互いの親を大切にしよう」
なにしろ、二人とも一人っ子なのだ。お互いに両親の愛情を一心に受けて育っている。親離れができないと言われるかもしれないが、これは親孝行なのだ。
「これは誓いだからね」
そう夫と小指を重ね合った。
すると、夫は家を二軒も購入した。しかも３５年ローンだ。場所はお互いの実家のすぐ隣り。
「なぜ二軒も買う必要があるのよ。しかも私に相談もなく」
「だって、こんな近くの土地が売りにでるなんて、奇跡だからね。チャンスを逃したらまずいっと思ってさ」
「それにしても二軒なんて」
「それが結婚の約束だろ。なにせ誓いだからね」
「お互いの親を大切にしようと言ったけど、すぐ隣りに家を買うなんて」
それを聞いた夫は、平然と答えた。
「だってチカイだろ。何が不満なのさ」