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少年がふと空を見上げると、満天の星がきらきらと輝いていた。

海辺に大きく横たわる防波堤や、テトラポットと一緒に、少年は星を見つめていた。


「おかあさんに会えるかな…」


小さなカニが、隙間からちょこんと顔を出して、彼のそばでじっとしている。


「カニさんも何かお願い事があるのかい?」


少年はその小さな優しい手で、カニをテトラポットの頂点に乗せた。


「願い事をするときは、大きく深呼吸をするんだ。そして、ゆっくりはっきりと頭の中で唱えるんだ」


少年はゆっくり息を吸い込んだ。そしてはっきり願い事を思い浮かべて、またゆっくり息を吐いた。

カニはいつの間にかいなくなっていたが、もといた場所には小さな砂山ができていた。


「帰ろうかな…」


さっと身を起こすと、次第に体がぽろぽろ溶け出して、最後は砂へと変わった。風とともに少しずつ海へと離れていく。



少年は星になった。
ファンタジー
公開:24/02/10 03:45

かずま( 関東地域 )

2023/10/19に参戦した新参者です。忌憚のないコメントお待ちしております。

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