色眼鏡

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私はあるものを発明した。
それが色眼鏡。
見た目は普通の眼鏡だが、掛けると相手の感情が色として見えるようになる。
小さい頃から周りの人の顔色を伺うように生きてきた私にとって、これは世紀の大発明だった。
早速掛けて外に出る。道行く人の周囲に、色んな色のモヤが浮かんでいる。
嬉しさは黄色。
悲しさは青。
怒りは赤。
世界中が一気にカラフルになった。
「これで生きるのが楽に」
なる。
そう思った私の前に、見たことない色のモヤが掛かる。
真っ黒。時々、稲光が走るように赤が走る。周囲を蝕み飲み込んでしまう程に巨大なそれを纏っていたのは、1人のくたびれたサラリーマンだった。
私は吐き気を催して家に戻り、すぐに眼鏡を外した。
(…あんなものを見るぐらいなら、こんなものはいらないな)
発明した色眼鏡はゴミ箱に入れた。



その日の夜、例のサラリーマンが無差別刺傷事件で逮捕されたニュースを見た。
その他
公開:24/02/06 07:51

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