絶体絶命

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「殺されてぇのかテメェ」

「いえ、も、申し訳ありません…もうしません…」

「それで、金は?」

「も、持ってきました…」


背の高い屈強な男は、抵抗したぼくを遮り、そのまま首根っこを掴んで離そうとしなかった。

「す、すいません…ちょっとお金を出しにくいので、て、手を離してもらえますか?」

男は右ポケットから拳銃を取り出し、ぼくの額に銃口を向けた。

「もう一度逃げようとしてみろ、次は容赦しねぇからな」

「はい…このままで大丈夫です…」


はぁ…考えるんだぼく。このままだとお金を払っても結局殺されちゃう。どうしよう。どうやって逃げよう…


「ドン!」


けたたましい音が響いた。薄暗いトンネルの中が一瞬、紫色に光った。そして、男は炎に包まれ動かなくなった。


「まったくもーどこ行ってたの?さ、帰るわよ」


ロケットランチャーを抱えるお母さんの背中は、とてもかっこ良かった。
ホラー
公開:24/02/06 07:40
更新:24/03/07 21:32

かずま( 関東地域 )

2023/10/19に参戦した新参者です。忌憚のないコメントお待ちしております。

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