新しい鍵

箱根マラソンに向け今年、ウチの学校はコーチを招き入れた。
「山の走りなら俺に任せろ！その攻略のカギは俺が握っている！」
その言葉を最初は誰も信じていなかった。だが、そのコーチの斬新な練習方法は山の攻略に適したものだった。
これは凄い！これなら本当に次の箱根マラソンは優勝を狙えるかもしれない！
誰しもがそれを頭の片隅に置いた。
実際、箱根マラソン当日も山の走りで言えば、ウチの学校が最も早かったかもしれない。
練習通り出来れば、優勝も狙えただろう。
だが、結果は惨敗。ウチのチームはリタイアしてしまった。
原因はコーチにある。
このコーチ、山の攻略のカギに何の処理もしていなかった。
箱根マラソン当日、山の攻略のカギは海からの潮風でサビてしまって使い物にならなかった。
新しい鍵ゆえ、サビないよう処理は必須だろうに…
そもそもの話、このコーチの腕が一番最初にサビていたのかもしれないな…