厄年女の豆まき

今年厄年の友人は厄払いの為、節分の豆にも拘った。男用・女用と分かれている黒い塊。これは本当に豆なのか？
「食べてみれば分かるよ」
まずは女用を食べてみる。上品な甘さが口いっぱいに広がる。これはもしかしなくてもチョコレート？
「正解。それも女子に大人気の限定品よ」
どおりで美味しいわけだ。豆は豆でもカカオ豆。でもこれを豆まきに使うなんて勿体なくない？
「勿体ないけど、これで本厄が払しょくされるのなら安いものよ」
早速女用と書かれた豆をまく。投げた矢先からフッと消える高級チョコ。
「見なさい。女子鬼がチョコを奪い合っているわ」
そんなの見たくない。見えなくて本当に良かった。
ついでに男用と書かれたチョコも食べてみる。こっちは何の変哲もない市販品だ。
「男用のチョコには１つだけ本命に渡す手作りチョコを忍ばせているの」
目の前に異様な気配を感じる。
チョコを投げると野太い男の声と争う気配がした。